市民活動 (Civic Engagement)

市民というコトバは時代により変化してきた。60年代の市民運動の時代には反対者、70年代の住民運動の時代には陳情者の響きがあった。80年代の市民参加の時代になると、行政活動への参加者・代案提示者の意味が加わった。90年代後半に入りNPOや市民活動という語が広まるにつれ、「政治的・社会的権利と同時に義務を持ち、公共性の創生に参画する自律した個人」という意味あいが強まった。この市民像は、公共性を行政だけに独占させず、個としての自律と相互の連帯や協働を通じて私の側から公共性を紡ぎだす場である市民社会(シビルソサエティ)と一対のものである。

このような市民社会の最近の動きを捉えるキーワードは「公共の再編」である。@国の動きとしての公益法人改革論議は、公共・公益的な活動は政府が直接行うか、国が認めたものだけを指導・監督下でやらせるとした1896(明治29)年の民法成立時の前提を根本から再構築するねらいがある。現在はこの論議の枠外におかれているNPO法人も、その活動を促進する方向での統一的な論議が今後予想される。A都道府県では、公共・公益的事務を、行政・市民社会・民間が協働して取り組む「公・共・私型社会」の理念整理や具体的な検討作業が進んだ。B市町村では、市民主体のまちおこし・まちづくり・市民活動促進・自治の基本に関する条例づくりなどの理念整備に関する事柄から、指定管理者制度を利用して地域の共用物である公共施設の管理運営をNPO団体などに戻す試みが各地で取り組まれるようになってきた。

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