「ボランティア・スクェア2001」を終えて


 「ボランティア・スクェア2001」は、ボランティア国際年の記念行事として2001年1月21日(日)にJR神戸駅周辺の3会場で開催された。そのための実質的な準備が始まったのは前年の秋口。実質4ヶ月足らずの間でよくこれだけ集中的にことが運べたなぁと改めて感心している。実行委員会のしごと、3会場のイベントのまとめ、そしてそこから見えてきた兵庫県のボランティア・市民活動の課題についてふりかえってみたい。

 今回のイベントの大きな特色は、実行委員の面々が当事者感覚をもって参画した点にある。「これは」と思った団体や組織に直接声をかけ、それに応じた人たちが委員として集まるうち、個人の立場で自由に発言し、重要な決定を下し、共同で責任を負う。そんな空気がうまれていった。最後には「ここにいるみんなで一緒に汗をかこう」、「場合によれば身銭まで切ろう」という意見まで飛び出すようにまでなった。

 当事者感覚が育ったのは、実行委員会と事務局との間で対等・協力の信頼関係をきずけたことによるところが大きい。信頼があるからこそ、行政や社会福祉協議会、共同募金会というピラミッド型組織と、実行委員のネットワーク型組織が、良い緊張関係の中で協働することができた。信頼の上に立って両者の協働がうまくいくためにはルールが必要であることも学んだ。それは、

という三点にまとめられる。これからの参画と協働の社会づくりを進めるうえでの大きなヒントが得られたように思う。

 イベントの分担は「この指とまれ」方式で決めた。パネルディスカッションは当日午前中に神戸クリスタルタワーで開かれたが、ざっくばらんな議論が展開された。当日は290名の参加があり、立派な刊行物が企画されていると聞く。交流ひろばはハーバーランド・スペースシアターで開かれ、スタッフ・ボランティア総勢22名により一般市民と市民活動団体や団体同士の交流の場がプロデュースされた。ボランティア・市民活動元気アップアワードでは、スタッフ・ボランティア23名で運営した。たくさんの聴衆をあつめて大成功だったと思う。

 ボランティア・アワードの役目の一つは、応募団体の活動に第三者による客観的な評価を提供することである。こつこつコースに応募した県内のボランティア144団体の一次(書類)審査から見えてきた素顔と、浮かび上がってきた課題とはどのようなものだろうか。

こつこつコースへの応募団体のうち、過半数は震災後設立された団体だった。これらの団体の申請書類を5名の審査員で評価した。その結果、応募団体は得点上位群と得点下位群という二つのグループにきれいに分かれた。得点上位群に共通するのは、何らかの社会的な課題を自分たちが解決するという意識を高くもつことだった。一方、下位群では活動の楽しさを重視するあまり、独りよがりになりかねないものも見受けられた。

得点上位群の団体は、震災前からの活動団体か、震災後の設立かでさらに得点に開きが見られた。震災前設立(43団体)か、震災後設立(54団体)かの区別をたて、それぞれの総得点を比較してみると、震災前から設立されて活動を継続してきた団体の方が「活動に対する熱意」・「活動の自主性」・「活動の社会的意義」・「継続性」・「生活、コミュニティへの密着度」などの点で全般的により高い評価を受けていた。

なにごとも始めるのは楽しいけれども、続けるのは大変。でもボランティアやNPO活動は続けることによって社会的なひろがりをもち、存在の意義が高まる。そんなことを審査から学ばせて頂いたように思う。